骨粗しょう症とは
身体の骨がもろくなり、骨折しやすくなってしまう状態を骨粗しょう症(こつそしょうしょう)と言います。骨粗しょう症になると骨密度の低下による骨折、骨質の劣化による骨折で、骨折リスクが7.2倍も増加すると報告されているのです。
つまずいて手や肘をついたり、くしゃみをしたり、日常のちょっとした出来事で骨折してしまうため、介護がないと生活が困難になってしまう方もいらっしゃいます。
骨粗しょう症は直接命を脅かす病気ではありませんが、健康寿命に関わってきたり、痛みなどの自覚症状がない場合もあったりするため、定期的に検査を受けることが大切です。
骨粗しょう症の原因は骨強度
私たち人間の骨は18歳頃をピークに少しずつ減少していきます。つまり、加齢とともに骨粗しょう症のリスクも高まってくるというわけです。では、なぜ骨粗しょう症になってしまうのでしょうか?
骨粗しょう症の原因は、「骨強度」であると考えられています。そしてその骨強度には、「骨密度」と「骨質」の2つの要素が関係しているのです。
骨密度とは
骨の強さを判断するための代表的な指標の1つ「骨密度」。言葉通り、骨の密度がどのくらいなのかを指すものです。骨密度は、骨の健康を知るうえで重要な手がかりとなりますので、40歳を過ぎたら定期的に骨密度を測ることをおすすめします。
骨質とは
骨の性質を表しているのが「骨質」です。昔は、骨密度の低下が骨粗しょう症の原因と考えられてきましたが、骨密度が正常であるにもかかわらず骨折リスクが高い患者さんがいることがわかり調べたところ、骨質が関係していることが明らかとなったのです。このことから骨強度の考え方も改められ、「70%の骨密度+30%の骨質=骨強度」となりました。
つまり、骨粗しょう症は骨密度の低下と骨質の劣化の両方が合わさって、骨折リスクが高まる病気と言えます。
骨密度・骨質の検査
レントゲン(DIP法)・超音波
骨密度は、レントゲン(DIP法)または超音波で計測することができます。月山クリニックでは、両手のみで計測することができるレントゲン(DIP法)を採用しています。他の検査と比較して費用が安く、計測時間も短いのが特徴です。
採血
骨質は採血を行い、ホモシステインや低カルボキシル化オステオカルシンなど、コラーゲンを劣化させる物質を計測することでわかります。
骨折リスク評価ツール(FRAX™)
(https://www.sheffield.ac.uk/FRAX/tool.aspx?lang=jp)
WHO(世界保健機関)が発表しているツールです。12の質問に答えるだけで骨折リスクを調べられます。各結果が15%以上の方は、早めに病院での検査を受けることをおすすめします。
骨粗しょう症の治療
骨粗しょう症の治療は、骨折を予防する目的で行われます。骨密度・骨質を改善するには食事療法や運動療法も有効ですが、骨粗しょう症と診断された場合は、薬物治療メインで行われます。
用いられる主な治療薬
- ビスホスホネート製剤
- 活性型ビタミンD
- ビタミンK
- 選択的エストロゲン受容体モジュレーター(SERM)
- カルシトニン
- テリパラチド
- デノスマブ
これらの治療薬を、一人ひとり状態を見極めながら選択してまいります。骨粗しょう症は、寝たきりの原因としても挙がる病気で、脳卒中・老衰に続き第3位と、高齢社会が抱える大きな問題となっています。生活の質を保ったままいきいきと暮らすためにも、骨粗しょう症の治療、予防に努めましょう。
<<詳しくはこちら>>